その喉の違和感「逆流性食道炎」かも?
逆流性食道炎とは
胃酸が食道内に逆流して起こる病態を、胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease:GERD)といいます。そのうち、内視鏡検査で、食道粘膜にびらんや潰瘍などの異常な病変が見られるものを「逆流性食道炎」と言います。
1 逆流性食道炎の定義
「逆流性食道炎」と「胃食道逆流症」の関係を正確に言うと・・・
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胃食道逆流症(GERD)は、症状や食道の粘膜の状態によって、逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease:NERD)とに分けられる
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内視鏡検査で、食道粘膜にびらんや潰瘍などの異常な病変が見られるものが逆流性食道炎
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また、胸やけ・呑酸などの症状があるにもかかわらず、内視鏡検査で食道粘膜にびらんや潰瘍などの病変が見られないものが非びらん性胃食道逆流症(NERD)
と、なりますが、専門家以外は
逆流性食道炎≒胃食道逆流症
でよいでしょう。
2 症状
典型的な自覚症状は、胸やけと呑酸(どんさん)です。特に、空腹時や夜間の胸やけが特徴的です。胸やけがひどいせいで、夜中に目が覚めてしまったり、心臓の病気と同じような胸の痛みを感じたりすることもあります。
また、食道の「閉塞感」「食べ物がつかえる感じ・つまる感じ」が主訴の方も多いです。のどの違和感、咳が続く、声がかれるなど、食道以外の症状が出ることもあります。げっぷが多くなることもあります。
これらは、「ストレス」や「室内の過度な乾燥」などが原因のことも多いですが、症状が長く続く方や「耳鼻科を受診したが、異常ないといわれた」「最近、咳払いしてしまうことが増えた」などの方は、この疾患を一度疑ってみてください。
3 原因
胃酸が食道内に逆流し、粘膜を刺激することが原因です。食道の粘膜は、胃の粘膜とは違い、胃酸の刺激から身を守る仕組みを持っていないので、胃酸に触れると炎症を起こしてしまいます。健常者でも多少の胃酸の逆流は起こっていますが、程度がひどくなると「逆流性食道炎」と呼ばれる病態になってしまいます。
胃酸が逆流してしまう原因として、
- 食道と胃の境目の筋肉「下部食道括約筋」がゆるくなってしまった
- 食道の蠕動運動の動きが悪く、逆流した胃液を胃へ押し戻すことができない
- 食べ過ぎなどで、胃の中の圧力が高くなって、胃液が押し上げられる
- ひどい便秘症などで、食物が下に降りていきにくい
- 生まれつき胃酸の酸性度が強い
などが挙げられます。
4 診断
上記の症状を自覚したら、まず消化器内科を受診することを考えましょう。医師に相談し治療を進めていきますが、「食道ガン」「胃ガン」や「食道アカラシア」といった重大な病気を除外するために胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を勧められると思います。
注意しなければならないのは、この病気においてバリウム検査はあまり意味がない、ということです。逆流性食道炎は粘膜の変形が軽度なことが多く、バリウム検査では詳しい診断ができません。
5 治療
薬物療法と生活習慣の改善を同時に行います。人種分類学上のコーカソイドやネグロイドの方では治療抵抗性のこともありますが、多くの日本人(モンゴロイド)の場合、この治療で効果が出てきます。
薬物療法であまり効き目がない場合は外科手術などが選択されることもあります。
☆薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬を服用します。主に、PPI(プロトンポンプ阻害薬)と呼ばれる薬が第一選択となることが多いです。その他、症状により粘膜保護薬や消化管運動機能改善薬などを併用していきます。
自覚症状がなくなっても、薬の服用をやめてしまうと再発する可能性もあるため、継続して服用することが大切です。
☆生活習慣の改善
日常生活では、胃酸の出過ぎを抑え肥満を解消するための食事として「低脂肪食」が推奨されています。 また、胃酸の分泌を促進するものを避け、禁煙を心がけましょう。
具体的な対策は、
- 食べ過ぎない
- 食後すぐに横にならない、就寝前2時間の食事の回避
- ベルトやコルセットを締め付けすぎない
- 胃酸の分泌を促進する油っぽいもの、甘いもの、刺激性の強いもの、アルコールは極力避ける
- 禁煙
- 肥満の改善
- 便秘の解消
などになります。
6 おわりに
逆流性食道炎は命に関わるような病気ではありませんが、日常生活の質(QOL)にさまざまに影響を及ぼすため適切な対処が必要です。近年は患者さんの数が増えてきており、その原因として食生活の欧米化、ピロリ菌がいない人が増加していることなどが考えられています。
生活習慣を見直し、適切に薬を服用することで多くの患者さんは症状が和らぎ、精神的なストレスから解放されます。生活全般の総合的な活力、満足度も改善していきます。ぜひ信頼できる医療機関で自分に合った治療を受けてください。
当院は東京都江東区にある消化器内科です。逆流性食道炎の症状でお悩みなら、当院の医師へ相談してください。近隣の墨田区、江戸川区にお住まいの方はもちろん、県外の患者さんも多数来院されます。